<aside> 📕 本記事は i Magazine 2018 Autumn(2018年8月)に掲載されたものです。 (c)i Magazine
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<お話を伺った人>
金田 直樹氏 技術部 ISグループ グループ長
東日製作所はシステム/34時代から、RPGで開発した基幹システムを運用している。販売管理、生産管理を軸に原価計算から外注管理まで、ほぼすべての基幹業務がIBM i上で稼働する。システム/34時代に開発したプログラムに改修を重ねながら、現在に至っている。
同社のシステム運用を担うのは、技術部 ISグループの金田直樹グループ長と女性スタッフの合計2名である。PC端末やネットワークなどインフラ管理からプログラムの改修、日々寄せられる問い合わせまで、さまざまな業務に対応している。
こうした運用管理業務を効率化し、限られたシステム人員を本来の業務に集中させるべく、同社では2013年からクラウドの利用を開始した。メールサーバーをSaaS型へ移行したり、VMwareの仮想環境へアプリケーションを移行するなど、段階的なクラウド化のシナリオを策定。2015年にはそれまで本社に設置していたPower SystemsおよびIBM iの環境を、インターネットイニシアティブ(IIJ)がIBM iのクラウドサービスとして提供する「IIJ GIO Power-iサービス」へ移行した。現在、本社では全サーバーが撤去され、完全クラウド化が実現している。
さらに2016年4月からは、新しいBIツールとして、「PHPQUERY」(オムニサイエンス)の利用をスタートさせた。
同社ではそれまで、PC端末にACS(IBM i Access Client Solutions)を導入し、Query/400を使いながら基幹データの活用を進めてきた。各部門で合計30〜40名が販売データや受注データを分析するなど活用機会は多かったが、エンドユーザーが自由に活用するレベルにはなく、何らかの変更が生じた場合はすべて、ISグループに変更依頼が寄せられていた。
「もっとエンドユーザーが自由に活用し、基幹データの利用レベルを高めると同時に、ISグループの負荷を軽減できるツールがないかと、ずっと探していました」と、金田氏は当時を振り返る。
Query/400の後継製品となる「Web Query」(IBM)も導入した。しかし当時、IIJ GIO Power-iサービスで契約していたシステム環境では、Web Queryが必要とするCPWを満たしていなかったせいか、レスポンスが遅かった。また機能の多彩さが操作の複雑性につながっていたため、結局エンドユーザーに広く運用を拡大するまでには至らなかった。
継続的にツールを探すなか、2016年2月に参加したセミナーで、金田氏は「PHPQUERY」の存在を知る。
「PHPQUERYであれば、データ分析に関する当社の要件をすべてクリアできると考えました。クエリー実行前後にCLを呼び出せるので、RPGプログラムと連結することも可能です。また操作がわかりやすくシンプルで、ブラウザでも利用でき、エンドユーザー側の自由度が高い点も魅力でした」(金田氏)
「PHPQUERY」では、システム管理者があらかじめ設定した項目については、ユーザー側で値を指定して実行できる。ユーザー自身が任意の条件を指定して、必要な情報をピンポイントに抽出することも可能だ。さらに抽出した結果は、昇順・降順、キーワードによる絞り込み、列の非表示・移動など、ユーザー側で自由に編集でき、次回のログイン時にもその設定を残せる。
つまり汎用性の高いクエリー定義を作成しておけば、ISグループの手を借りずとも、エンドユーザー側で抽出条件などを自在に変更して活用できるわけだ。