<aside> 📕 本記事はi Magazine 2019 Winter(2019年10月)に掲載されたものです。 (c)i Magazine
</aside>
<お話を伺った人>
山下 直也氏 プラットフォーム開発本部 情報システム部部長
フェリシモは、幅広い年齢層の女性を主なターゲットとして、ファッション、生活雑貨、手芸、レッスンプログラムなどのバラエティに富んだ商品を販売する総合カタログ通販企業である。
特色としているのは「定期便」と呼ぶコレクション事業で、顧客が「キッチン・食器」「インテリア」「収納」などのカテゴリのなかから好みをアイテムを選ぶと、毎月1回、フェリシモが色・柄・デザインの異なる商品をセレクトして顧客の元に届ける。「生活をスタイリッシュに、可愛らしく、エコに楽しむ」という同社の価値観を前面に出した、多数の会員を長年にわたって引き付けてきた事業だ。
この「定期便」と並んで同社が今最も注力しているのが、「クラスター&トライブ戦略」である。ニッチな分野でも熱狂的なファンのいる商品やサービスを事業として立ち上げるための取り組みで、同社ではそれを「部活動」と呼ぶ。
実際に毎週水曜の午前中は部活動のための時間とし、どの部門の誰でも自由に参加可能で、商品・サービスの企画やテーマを楽しむための活動に参画できる。
たとえば「猫と人がともにしあわせに暮らせる社会」を目指す「フェリシモ猫部」では、猫の殺処分を減らすための活動として「保護猫譲渡会」の開催や、三井住友カードとの提携による「フェリシモ猫部VISAカード」の発行を実現している。
カードを利用すると、その0.12%(わんにゃん%)が「フェリシモわんにゃん基金」として寄付される仕組みで、「お買い物で猫助けができるクレジットカード」である。
同社では、ビジネスとは一見関係のないこうした活動をもとおして、ファンが本当に求めている商品・サービスを企画・開発していく考えという。
クラブは既に30近く誕生している。同社ではそれを「フェリシモ部活」としてホームページで公開し、顧客の参加も呼びかけている。
一方、同社では「定期便」や「部活」を推進するために、ビジネスで蓄積してきたデータの活用・分析に積極的に取り組んできた。消費者やマーケットの動向を独自の視点で捉えるためである。
その主だったものを挙げると、IBM i上の基幹システムのトランザクションデータは別の分析基盤(以下、DWH)に転送して分析活用を行ったり、マーケティングオートメーション(以下、MA)用のシステムに転送してワン・オン・ワン・マーケティングを実施している(図表1)。