<aside> 📕 本記事はi Magazine 2021 Spring(2021年4月)に掲載されたものです。(c)i Magazine
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<お話を伺った人>
伊勢 裕氏 経営企画室 システム企画課 課長
金岡 茂光氏 経営企画室 システム企画課 主任
エスフーズが、IBM i上の基幹データ活用ツールである「PHPQUERY」(オムニサイエンス)を導入したのは、2018年夏のことである。
実はそれに遡る8年ほど前から、営業部門での効率的な基幹データ活用に向けて有効なツールの導入を模索してきた。
同社のIBM i運用歴は30年以上になる。販売管理や生産管理を軸とする基幹システムは長年にわたる改修を積み重ねてきた結果、完成度・洗練度の高いシステムとして運用されている。ただし基幹データ活用に関しては、いくつかの課題を抱えていたようだ。
「当社では従来、営業部門から寄せられる実績管理などの帳票ニーズに対して、Query/400を使って個別にプログラムを作成してきました。しかし要望が少し異なるだけでも、1つ1つプログラムを作成し直さねばならず、その数は1000本を超えていました。クエリーの作成に時間がかかり、プログラム管理にも苦労していたのです。また現場のユーザーは印刷した帳票を見ながら、あるいは直接画面を見たりしながら、Excelにデータを入力し直すといった作業も発生していました。そこで作る側と使う側の双方の負担を軽減するためのツールをずっと探していました」と語るのは、経営企画室システム企画課の伊勢裕課長である。
PHPQUERYを導入する以前も、IBM i上で利用可能な数種類のデータ活用ツールを検討していた。実際に導入した製品もあるが、同社が抱えていた「作る側と使う側の双方のニーズを満たす」という条件を備えるツールにはなかなか出会えず、社内で利用が拡大することもなかったという。
「そんななか2018年にPHPQUERYの存在を知り、オムニサイエンスを訪問して機能を検証したところ、とても使いやすく、ほぼ当社のニーズを満たせることを確認できたので導入を決めました。PHPQUERYはユーザーライセンスが無制限である点も、コストパフォーマンスのよさとして評価の理由になりました」と、経営企画室システム企画課の金岡茂光主任は当時を振り返る。
システム企画課には課長を含めて5名のスタッフが所属するが、そのうちの3名がPHPQUERYの講習を受け、導入後からすぐにクエリー定義の作業をスタートさせた。
開始当初に作成した定義は20本程度であるが、約3年を経過した現在では、本社の営業本部や経理部、全国の営業所を含めて約30カ所でPHPQUERYを利用している。得意先別、商品別、アイテム別などクエリーの定義数は140本を超えるまでに利用が拡大している。
「システム企画課が利用推進に努力したというよりは、社内の口コミで自然に広がっていった印象です。たとえば以前は月1回の営業会議で資料を作成するのに、何時間も費やしていました。しかし今はPHPQUERYで定義を作成しておき、ユーザーはそれを使って自由にExcelで加工すればよいので、30分もかからずに資料を作成できます。こうした利便性が口コミで広がって、『そんなに便利なら、うちの部署でもぜひ使いたい』との要望が寄せられるようになり、自然に利用が広がっていきました」(伊勢氏)
ちなみにPHPQUERYでは、クエリー実行前後にCLを呼び出せるのが大きな特徴である。これにより既存のRPGプログラムやクエリーを再利用できるので、複雑なデータ抽出や編集であっても、過去の資産を活用しながら短時間で対応可能となる。