<aside> 📕 本記事はi Magazine 2019 Spring に掲載されたものです。 (c)i Magazine

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<お話を伺った人>

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秋山 嘉隆氏 経営本部 総務部情報管理 グループグループリーダー

丹澤 博氏 経営本部 総務部情報管理 グループ主任

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藤田 祐次氏 経営本部 総務部情報管理 グループチームリーダー

クライアント・ライセンスへの変更では予算オーバー

PHPQUERY採用と巧みな移行策により混乱回避

定義のしやすさと使いやすさを評価。過密スケジュールを乗り切る

サーバー・ライセンスが大きな魅力として映る

コンビニエンス・ストアやスーパーマーケットに並ぶお茶や牛乳、ドレッシング、ジャムなど。岩井機械工業は、これら流体食品を作るための製造機械やプラントエンジニアリングのリーディングカンパニーで、現在はその技術力・開発力・総合力を医薬品や化学品分野にも向け、事業領域を拡大している。

業務合理化のためのシステム化は早く、1969年に富士通メインフレームを導入。1984年からは生産管理用ホストとしてシステム/38の利用も開始し、さらに1990年に基幹ホストを富士通メインフレームからAS/400(現・IBM i)へ切り替えて一新し、以降一貫してIBM iを使用してきた。

現在、IBM i上では生産管理や販売管理、会計などの基幹システムが稼働する。これらは1990年にホストを切り替えた際に自社開発ないしパッケージソフトウェアをカスタマイズしたものが大半で、システム部門では30年にわたりシステムの改修・拡張を継続してきた。

情報管理グループの秋山嘉隆氏(グループリーダー)は、「業務部門からの改修の依頼はコンスタントにあり、近年高水準の業績が続くなかで昨年(2018年)はかつてないほど依頼が多く、改修や拡張作業に追われました」と話す。

同社では2008年にBIツールを導入し、業務部門が基幹データを活用するための基盤とした。システム部門が定義したプログラムに対してユーザーが検索条件を指定し、その抽出データをExcelへ落として利用する使い方で、全社員(410名)の半数以上がユーザーになるなど、業務に欠かせないツールとして利用されてきた。

ところが、2018年に切り替える予定のIBM i(POWER9)環境で利用するにはBIツールのライセンス形態を変更する必要があり、新たなBIツール探しが始まった。

「従来のライセンス形態はサーバー単位でしたが、新しいIBM iではクライアント単位になるため、ユーザーが200名を超える当社では予算をはるかにオーバーしてしまいます。そこでやむなく、新たなツール探しを2017年春からスタートさせました」と説明するのは、情報管理グループ チームリーダーの藤田祐次氏である。

しかし、新しいBIツール探しは「すんなりとは決まらなかった」(藤田氏)。一時期は、ノンプログラミングでプログラムを自動生成する開発ツールも検討したが、「仕組みの理解が難しく、カスタマイズに時間がかかり過ぎる」(藤田氏)との理由で、採用を見送った。

そうしたなかで、あるセミナーでオムニサイエンスの「PHPQUERY」を知り、検討を始めた。

「最初に注目したのはサーバー・ライセンスという点で、ユーザーがいくら増えても費用に影響しない点が魅力として映りました」と、藤田氏。そして「実際に当社の開発機にテスト導入して調べてみると、データ抽出の定義方法や操作方法が非常に簡単で、これならスムーズに移行できると考え、採用を決めました」と経緯を述べる。

また、情報管理グループ主任の丹澤博氏は、「PHPQUERYにシングル・サイン・オン対応の機能があり、社員がイントラネットにログオンするとそのままPHPQUERYを利用できる点や、IBM iに重い負荷を与えるデータ抽出をクエリーの処理時間や一時記憶域容量の設定によってコントロールできる点を高く評価しました。PHPQUERYがIBM i上で稼働するので管理しやすいのも好都合で、デザインがシンプルで洗練されているのも、システム部員全員が気に入った点でした」と、採用の理由を話す。