<aside> 📕 本記事はi Magazine 2021 Summer(2021年7月)に掲載されたものです。(c)i Magazine
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<お話を伺った人>
真壁 昭夫氏 情報システム部 副部長
中川 健氏 情報システム部 開発チーム
ユーザーが自らの手でデータを抽出・加工する環境を整備
コーユーレンティアは2003年に国産オフコンからIBM iへ移行し、基幹システムを全面再構築した。販売管理・物流・在庫管理を軸に、RPGによる独自開発型のシステムとして完成させている。
現在は同社を含むグループ4社がIBM i上で基幹システムを運用している。2016年には業態や事業内容の異なる4社それぞれの特性や独自ニーズに対応するため、大規模なシステム改修に取り組んだ。さらに2020年夏にはPower SystemsをPOWER 9へリプレースしている。
基幹データのさらなる活用を目指して、「PHPQUERY」(オムニサイエンス)を導入したのは2020年10月のことである。本格的に利用を開始したのは、翌2021年1月からだ。
同社では以前からQuery/400を使って情報システム部が基幹データを抽出し、管理部門や営業部門を中心に定期的にデータを配布することで、各部門でのデータ活用を進めてきた。データの配布対象は帳票数にして約500種類、蓄積されているクエリー数は(使用頻度の低いものを含めて)約5300本に上る。
課題になっていたのは、このデータ加工・配布に関わる情報システム部内での作業工数の多さである。部門から要望が寄せられるたびにQuery/400で定義を作成したり、各部署へ定期的に一斉配信するなどの作業に相当の工数を費やしていた。
現在、情報システム部には部長以下9名が所属する。同部は、コーユーレンティアをはじめグループ全社のIT部門という役割も担っている。基幹システムの運用保守からオープン系サーバーやネットワーク、端末管理など、IT全般を担当している。
毎月のデータ抽出作業については、3名のスタッフが担当しており、とくに月次処理の締め日直後はデータ抽出・配信作業に多くの工数を費やすという。
「こうしたクエリー定義や配布の作業を自動化・効率化するとともに、エンドユーザー自身が必要な時に必要なデータを自身の手で取得できるような環境整備が必要であると考えていました」と語るのは、情報システム部の真壁昭夫副部長である。
同社がその課題解決に向けて選択したのが、PHPQUERYである。本格的なBIソリューションからQuery/400の後継とされるDb2 Web Query for iまで、多様な製品を検討したが、PHPQUERYを選択した理由について、中川健氏(情報システム部 開発チーム)は次のように指摘する。
「まずQuery/400と操作性が似ていて、違和感なく利用できること。それにQuery/400で作成したクエリーを再利用できる点が大きかったです。それからSQLを使用できるので、Query/400で対応できなかったニーズにもSQLでカバーできること。またIBM i上で使用できるので、追加のWindowsサーバーが不要であること。そしてユーザー数が無制限なので、今後のユーザー数の拡大にコスト負担なく対応できる点などが決め手になりました」
2021年1月の利用開始から約半年間を、本格展開前の助走期間と位置づけ、各部門からデータ活用に積極的な10~20名程度のユーザーを選んで、利用を開始した。これに並行して、利用頻度の高い従来のクエリー定義をPHPQUERYへ移行する作業も進めている。6月時点で、約30%の移行が完了したという。